第39章 夏の終わり*高尾*
サンダルを脱いで、素足を海へ入れた。
波が押し寄せ、足に勢いよくかかる。
今度は波が引き、すーっと砂が足の間から抜けていく。
「うはー!気持ちいーわ!」
「夏っぽいね!夏っぽいね!」
足をばしゃばしゃさせたり、水をぱしゃんとかけたり。
海から出て、砂浜でお城を作ったり。
私がやるとただの山にしかならないのに、和成が触るとどんどんお城の形になっていくから不思議。
すっかり海を満喫して、かき氷を食べながら海を二人で眺めた。
「なんか、こういう風にゆっくり遊ぶの久しぶりだよね。泳がなくても結構楽しめちゃった。」
「良かった!俺さ、海とかかき氷とか、なんか夏!って感じのことやりたかったの!」
「なんで?」
「だってさー、折角の夏休みなのに夏らしいこと全く出来なかったでしょ?…二人で思い出作りたかった。」
いつも余裕な雰囲気の彼が少し顔を赤くして、でも優しく微笑んでくれていた。
彼なりに色々と考えていてくれたことが伝わってきた。
「和成…今日すごく楽しかったよ!ありがとう!」
素直に気持ちを伝えたい気分になった。
言葉を口にする時に自然と笑顔になれたのは、幸せだなって思っているから。
彼がぎゅうっと後ろから私を抱き締めてくれた。
「名前、好きだぜー!」
「あたしもっ!」