第38章 8月31日*青峰*
「大輝、おかゆ作ったよー。卵入ってるやつ。」
「…おー。サンキュ。」
いつもはあっという間にご飯を平らげるのに、今日は少しずつ口に運んでいる。
その姿が弱々しくて、何だか切ない気持ちになってしまう。
「ごちそーさん。…美味かった。」
「良かった!はい、お薬。」
私は水が入ったグラスと錠剤の風邪薬を大輝に渡そうとした。
「なー…名前。」
「ん?」
「口移ししてくれよ。」
弱っていると思って油断していたけど、元々大輝はこういうやつ。
「はぁっ!?…もー、しょうがないな。」
私は水と薬を口に含み、 薄く開かれた彼の唇に注ぎ込んだ。
くちづけた時に彼の息遣いと唇の熱を感じ、私まで熱くなってしまった。
「こんなんで照れるなっつーの。…ちょっと寝るわ。」
そう言うと彼は横になり、数分後には寝息が聞こえてきた。