第38章 8月31日*青峰*
「夏風邪はバカがひくって本当だったんだね!」
久々の形勢逆転に少しだけ優越感。
氷枕を大輝の頭の下に入れながら、ついからかってしまった。
「うっせぇよ…。お前病人をもっと労れねーのかよ…。」
デジタル音が鳴り、彼は体温計を確認してから私に見せた。
38.2℃、という表示。
私は持参していた冷えピタを彼のおでこにペタリと貼り付けた。
「気持ちいい?」
「…おー。てか、お前の手の方が冷たくてちょうどいい。」
そう言って彼は私の手を掴み、自分の頬にくっつけた。
「さっき氷触ってたからかな?…えへへ。」
「…気持ちわりぃな。」
普段俺様な大輝が珍しく甘えてくれる。
それだけで、何だか嬉しくなってしまった。