第35章 彼氏彼女ができるまで*笠松*
彼を「好き」だと気がついた日のこと。
「名前、今日バスケ部練習試合やるらしいよ!見に行こうよー!」
ある日の友達からのお誘い。
なんでもモデルの黄瀬涼太が出るから見たい!とのこと。
バスケ部…。
笠松くんキャプテンだし試合出るよね、きっと。
「うん、行きたい。」
「よし!行こ行こ!でも、名前黄瀬くん好きだっけ?」
「ううん?でもバスケの試合観てみたいの。」
体育館に行ってみると、沢山の女の子のギャラリーでいっぱいだった。
もう試合が始まっているらしく、歓声が鳴り響いていた。
ギャラリーの間をぬって、見学スペースを確保。
「一本!ここ攻めるぞ!」
空気がその一言で引き締まるのがわかった。
笠松くん。
チームのメンバーを引っ張るリーダーシップ。
試合状況をよく見ながらの適切なパス。
そして相手チームを圧倒するスピード。
「クラスメイト」じゃなくて「選手」で「キャプテン」の彼に、すっかり見とれてしまっていた。