第34章 キスまでの距離*紫原*
「ねーねー名前ちん。さっき室ちんと何しゃべってたの?」
練習前に敦からふいに尋ねられた。
「さっきって…お昼休み?」
「そー。遠くから見ただけだから、声かけなかったけど。」
まさか「あなたのことを相談してました」なんて言えない!
絶対無理!
「氷室先輩の幼馴染みの話聞いてたんだよ。ほら、敦と同中の子と一緒の高校の子!」
「あー…黒ちんの学校のやつね。オレあいつ嫌いだなー。」
「もー!そんな風に言わないの!そういえばさっき購買でまいう棒の新味売ってたよ。はい!」
「わーい!ありがとー、名前ちん。」
危ない危ない。
氷室先輩の作戦が無駄になるところだった。