第31章 不器用故に*花宮*
私はそのまま腕を引っ張られ体育館の外に連れ出された。
「…っ!まこ!腕…痛いよ。」
そう言うと、まこはスッと手を離した。
何から話せばいいのかわからなくて、沈黙が続く。
「…何であいつと同じ高校行ったんだよ。気を付けろって言っただろ。」
「あいつって今吉先輩?特に何もされてないけど。…まこが自分に近づくなって言ったんでしょ?」
ついにあの出来事を引き出してしまった。
「私のことバカでドジで嫌いなんでしょ?」
頬につーっと涙がつたうのがわかった。
思い出したら泣いてしまうほど、やっぱり私は彼が好きなんだ。
「嫌いなんて一度も言ってないだろ!俺がお前に近付くなって言ったのは…」
まこはそこまで言うと口をつぐんでしまった。