• テキストサイズ

黒子のバスケ*Short Stories

第29章 図書室にて。/黒子*緑間


初めて出会った日からもう一つ季節が変わろうとしていた。

「黒子くんこんにちは!今日も寒いねー!」

「図書室はエアコン入ってるので暖かいですよ?ぽかぽかです。」

「ぽかぽかって表現素敵だね。なんか可愛い。」

今日もいつものように何気なく言葉を交わす。

珍しく誰一人として姿がない図書室。

「さてと、今週の黒子くんのお薦めの1冊は何かな?」

「これですよ。」

そう言って渡したのは、恋愛小説。

「珍しいね…。選んでくれたの初めてじゃない?」

今まで選んだのは青春ストーリーやミステリー、ファンタジー、名作など。

恋愛小説は中々共感するのが難しく、どちらかというと苦手なジャンルだった。

「昔読んだ時は理解するのが難しくて、それから敬遠していたものなんです。でも最近もう一度読んでみたんです。そうしたら、どんどんストーリーにのめり込んでいく自分がいたんです。」

「…恋を理解できるほど大人になったってこと?」

「そうですね。こんな気持ちになったのは初めてですから。…苗字さん、君が好きです。」

「…私はずっと前から恋してたよ、黒子くんに。」

はにかむように笑うと、彼女はぽつりぽつりと秘密にしていたことを話してくれた。

ある時廊下ですれ違った時に、僕に一目惚れをしたこと。

僕と同じクラスの友達に名前や部活などを教えてもらったこと。

毎週水曜日に図書室にいることは知っていたけど、「読書感想文」という理由が出来てようやく図書室に行けたこと。

「あ!でも本読むの苦手だったのは本当だよ?でも、黒子くんのお陰で好きになれたけどね。」

「良かったです。好きな人が自分の好きなことを一緒にしてくれるのは幸せですから。」

/ 445ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp