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黒子のバスケ*Short Stories

第29章 図書室にて。/黒子*緑間


それから、毎週水曜日は必ず苗字さんが図書室に来てくれるようになった。

「黒子くんの今週のおすすめの一冊は何かな?」

ウキウキしながら聞いてくるのが可愛らしくて好きだった。

人が多い時はさすがに話せないので、彼女は借りた本をカウンターから一番近くの席で読んでいた。

ページを読み進めるごとに、ふっと笑ったりちょっと疑問を顔に浮かべたり、悲しげに見えたりとコロコロ変わる表情に、思わず見とれてしまった。

そして本を読む時に伏し目がちになり、長い睫毛が際立ち、ドキッとしたこともあった。

何より僕は毎週水曜日を心待にし、彼女と過ごす僅かな時間をとても心地よく感じていた。

彼女に特別な想いを寄せている。

この気持ちに気付くのに、時間はかからなかった。

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