第25章 香る。/実渕*氷室*火神
<火神>
時計を見ると18時30分を少し過ぎていた。
そろそろ帰ってくるか?
すると、鍵を取り出しガチャッと開ける音がした。
「大我ー!ただいまー!」
リビングに仕事を終えた名前が現れた。
「おー。おかえり。」
一旦包丁を置くと、彼女はぎゅっと俺に抱き付いてきた。
「外までいい香りしてたよー。今日のご飯は何でしょう?」
彼女が興味津々で、フライパンを覗きこむ。
「今日はハンバーグとポテトサラダとスープ。」
「やった!大我のハンバーグ大好き!」
「だろうな。準備しておくから、さっさと着替えてこい。」
俺が消防士で、彼女は一般事務。
生活時間が全く違う。
俺が早番の日は朝帰宅するので、夕食の準備をしておく。
あいつ最近夏バテしてたから、せめて大好物で元気になってくれればいいけど。