第24章 繋ぐ。/赤司*緑間
「もしもし、征くん?」
電話越しの待ち焦がれた声。
「名前か。まだ起きていたのか?」
「うん…。何か眠れなくて。」
「奇遇だな。僕もだ。」
今日は空気が澄んでいて、輝く満月がはっきりと見えた。
「名前、そちらも月が綺麗に見えるか?」
「うん。今日は月が綺麗だね。」
「それはそのままの意味かな?」
彼女は「月が綺麗ですね」のもう一つの意味を知っているのだろうか。
「え?え?何?」
「…何でもないよ。」
「…さっき眠れないって言ったけど、ほんとはね、征くんの声聞きたくて電話しようかなー?ってずっと悩んでたんだ。」
彼女も同じ時に同じことを考えていた。
そんな単純な偶然にどうしてこんなに心が震えるのだろう。
「…名前、愛してる。」
「…ありがとう。でも急にどうしたの?」
「いや…伝えたくなっただけだ。」
僕らはいつでも繋がっている。