第23章 恐がる。/木吉*笠松*火神
<火神>
夜中にふと異変を感じ、目を覚ます。
すると、横で眠っている名前の様子がおかしかった。
閉じた目から一筋の水の粒。
寝息も浅く、息苦しそうだ。
表情は強張り、とても心地よく眠っているとは思えなかった。
「名前。…おい、大丈夫か?」
声をかけてはみるものの、目を覚ます気配はなかった。
何か飲もうとベッドから出ようとした。
「…た、い…が……。」
微かに自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「起きたのか?」
顔を覗きこむと、また消えそうな声が聞こえた。
「…お、い……て、か…な………で。」
無意識のうちに溢れた彼女の本音だ。
涙をそっと指で拭ってやった。
「…う…ん。」
彼女がゆっくりと目を開けた。
「大丈夫か?うなされてたぞ。」
「ありがと。…大我と離れ離れになる夢だった。」