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黒子のバスケ*Short Stories

第23章 恐がる。/木吉*笠松*火神


「暗いな…。苗字、足元気を付けろよ。」

「はっ…はい!」

彼女は俺の一歩後ろをゆっくりと付いてくる。

さすがに毎日顔を合わせてるから、少し会話にも慣れてきた。

不思議と彼女とは話していても不自然な間や沈黙は出来なかった。

暗い山道を懐中電灯の明かりを頼りに歩く。

ガサガサガサッ!!

「きゃあああっ!!」

腕に何かがしがみつく感覚。

「おいっ!苗字!?」

視線を落とすと、顔をしかめて怯える彼女がいた。

「あっ…すいません。つい…。」

彼女はするりと腕を放し、また俺の一歩後ろに戻った。

異性から触れられることには慣れていない。

顔が熱いが、夜の闇が赤さを隠してくれている。

ただ、自分の苦手意識よりも恐がる彼女を安心させたいという気持ちの方が勝った。

彼女の手を掴み、覆うように握った。

「…笠松先輩?」

「…恐いんだろ。横にいろ。…嫌なら離すけど。」

「…ありがとうございます。嫌じゃないです。…むしろ嬉しいです。」

さっきより顔の温度が上がった気がする。

だけど、この手の温もりを心地よく感じるのはどうしてだ。
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