第19章 一筋の光*青峰*
「大輝くん!離して…。」
「嫌だね。お前逃げるだろ、どうせ。」
彼の腕ががっちり私の体を掴んで放さない。
「なんでオレのこと避けてんだよ。」
「避けてなんかないよ…。」
「嘘つくんじゃねぇよ!オレはおまえが好きなんだよ。避けられてることぐらいわかるわ!」
大輝くんからの突然の告白。
涙がぼろぼろ溢れ出す。
「…恐いの。大輝くんといると、私の中の夕が消えてしまいそうなの。忘れちゃダメなのに…。」
「お前の中のそいつは消えねぇよ。」
「…なんで?」
「昔からずっと一緒にいたんだろ?だったら今のお前がいるのは、家族以外ならそいつの影響が一番強い。生きてる限り変わらねぇよ。」
今の私がいるのは彼のおかげ。
なんでそんな簡単なことに気が付かなかったんだろう。
「そいつの存在完全に忘れた訳じゃないだろ。だったら前向け。」
思い出すことは少なくなっても、私の記憶から彼がいなくなることは絶対にない。
大輝くんは前を向いて歩き出した。
私も前に進む時が近い。
「うん…。」