第2章 NAME*黒子*
家の側の公園で、ベンチに二人並んで腰かけた。
黒子くんから温かいミルクティーをもらった。
「…今日学校で何かありましたか?」
黒子くんが私を真っ直ぐ見つめる。
「…ううん、何でもない。」
水色の瞳に見透かされそうな気がして、思わず目をそらした。
「苗字さんは何かある時、絶対に何でもないって言うんですよ。」
「そうなの?全然気づかなかった…。」
「苗字さんが、桃井さんにムッとしてたのも気付いてました。」
気付かれてた!
どうしよう…嫉妬してたとか重いよね?
「何だか嬉しいなと思って、ちょっと意地悪しちゃいました。」
「…え?」
「自分で言うのも何ですが、名前の気持ちがわかるほど見てるんですよ。」
自分の顔が熱くなり、鼓動が速くなるのを感じた。
今、私の名前呼んでくれたよね?
不意に黒子くんの顔を見ると、白い肌がほんのり赤くなっていた。
「…テツくん。」
何だか照れ臭かった。
テツくんの顔がもっと真っ赤になった。
さつきちゃんに同じ風に言われても、いつも涼しい顔してるのに。
ぎゅうっとテツくんが私を抱き締めた。
「…何でそんなに可愛いんですか?」
「…そんなことないもん。」
「きっと名前が思っているよりもずっと、僕は君が好きですよ。」