第17章 一日だけ*赤司*
祇園祭の夜。
提灯が並び明るく照らされる街。
たくさんの夜店が並び多くの人が夏の風物詩を楽しんでいる。
私も真っ赤なりんご飴に思わず心引かれてしまった。
人混みではぐれないように、と征ちゃんはしっかり私の手を握って一歩前を進んでいる。
彼は人混みはあまり好きではないはず。
「征ちゃん、大丈夫?人混み苦手だったよね?」
「…確かに苦手だ。だが、お前の嬉しそうな顔を見ていると不思議と気にならない。」
征ちゃんのこういうさりげない優しさがすごく好き。
私のことを思って、喜ばせようとしてくれる。
浴衣で並ぶ二人。
いつもと違う非日常の世界。
タイムリミットが刻々と近付く。