第15章 素直な気持ち*黄瀬*
じわりと涙が目に浮かんだ。
まだ籍は入れていない。
「やっぱりもう少し考えたい。」なんて言われたらどうしよう。
会えない時間が多いほど不安は募る。
「…だめだ。落ち込むだけだ。」
リモコンを手に取り、テレビを付けた。
気が付けば考えているうちに時間が過ぎ、ちょうど昼のワイドショーがやっている時間だった。
軽く何か食べようと台所で準備する。
「…昨日モデルで俳優の黄瀬涼太さんが都内で会見を行いました。」
知りすぎている彼の名前が聞こえ、急いでテレビの前に戻る。
画面に写るのは、私の前とは違う表情をした彼。
「私、黄瀬涼太は先日婚約をしたことをご報告いたします。」