第15章 素直な気持ち*黄瀬*
左手の薬指のエンゲージリングを見つめる。
もらった時はキラキラ光輝いていたのに、今日はその輝きを失ってしまっているように見える。
涼太とは海常高校で出会い、バスケ部選手とマネージャーという関係から恋人同士になった。
容姿端麗、スポーツ万能、人懐っこくて明るい彼は人気者で、釣り合わない自分に劣等感を抱くことも少なくなかった。
だけど彼はいつでも言葉で、行動で、「俺は名前っちが好きっスよ。」って伝えてくれていた。
むしろ伝えすぎてよく部活中に笠松先輩に「黄瀬うぜーぞ!」って蹴りを入れられてた。
卒業後、私は大学に進学しその後就職した。
彼は、部活に専念するために休んでいたモデルのお仕事を再開した。
今ではモデル以外にもバラエティー番組に出演したり、俳優としてドラマや映画に出演したりとマルチに活躍している。
ちょうど私が就職して1年、彼のドラマ撮影もクランクアップを迎えた3月に彼からプロポーズされた。
「名前、俺と結婚してほしい。幸せにするっス。」