第14章 Hot Spring*誠凛*
<水戸部>
そういえば凛くんはどうだったんだろ。
彼はもちろん言葉を発することがない。
だからこそ行動でいつも示してくれている。
「でも水戸部くん後ろの方にいたし、興味ないんじゃないかな。…名前ちゃんがいるし?」
リコ先輩がニヤリと私を見てほくそえんだ。
少なくとも二人でいる時に他の女の子を見ることはなかった。
でも私が都合のいいように考えているだけかも。
彼のことを信じつつも、少しだけ気持ちに陰りが出来た。
お風呂を出て、庭園のベンチに腰掛けた。
涼しい風がモヤモヤした気持ちをスッとさせてくれた。
ぽん、と暖かい手の感触を頭に感じた。