第14章 Hot Spring*誠凛*
「名前、ここ座って。」
私は言葉の通り椅子に腰掛け、俊も隣に座った。
彼は私の目をじっと見つめ口を開いた。
「カントクから聞いただろ。俺たちが女湯覗こうとしてたの。」
「うん…。」
俊の顔を見るのが辛くなり、思わず下を向いてしまった。
「不安にさせてごめんな。確かに覗こうとした。興味がないと言えば嘘になる。」
理解はしているけど、彼から直接聞いてしまうとじわりじわりと胸が苦しくなる。
「でも。」
そう言って少し間が空く。
不思議に思い、顔を上げて彼の顔を覗きこんだ。
「…触れたいと思うのは名前だけ。」
白い肌に頬に差す赤がとても映えていた。
私の顔も同じ色に変わった。
恥ずかしい。
だけど「特別」だって言ってくれたみたいで、胸の中が暖かくなった。
「しゅーん、ご飯の後のアイスで許してあげる。」
「わかりました。何がいい?」
「うーん…カリカリ君かな?」
「アイス食って、愛救う!キタコレ!」
「やっぱハーゲンダッツ様にするー。」
「マジかよ!!」