第13章 KissHug*木吉*
名前は抱きしめられることがすごく好きみたいだ。
顔が一気に緩んで、リラックスしているような、でもとても幸せそうな顔になる。
「鉄平の匂い安心するんだよね…。」
「俺も名前の匂い好きだよ。女の子らしい感じだな。」
ふふっと頬を染めて笑って、また明日ね!と帰っていった。
ちなみに一度キスをしようとしたが、丁重に断られてしまった。
「だってファーストキスでしょ?場所が病室だと、これから先に思い出す時、鉄平の怪我のことも一緒に思い出しちゃうじゃん。」
後付けかもしれないが、そんなことを言われてしまっては再度ねだることも出来なかった。
加えて彼女は人目を気にするので、病院にいる間は無理かな…と思っていた。
付き合い始めてすぐ怪我をし入院してしまったので、彼女に多くは触れていない。