第12章 Confidence*高尾*
しかもそこから人と深く関わるのが恐くなり、嫌われたくないという心理も働いてしまうようになった。
だから、人に優しくする。
嫌なことも進んでやる。
「これがいい!」って相手が希望を持っているなら、「それでいいよ。」って合わせる。
そんな自分を客観的に見て、また嫌になる。
…ついつい話しすぎてしまった。
高尾くんに視線を移すと、ちょっと悲しそうな顔に見えた。
「もったいねーな。」
「え?」
「名前ちゃんの元カレ。そいつは名前ちゃんの1年も片想いする健気なところとか、試合で応援してくれる優しさとか、何にも気付かないなんてバカだろ。」
高尾くんは調子いいこと言うけど、嘘は付かない。
彼の言葉には必ず何か意味が含まれている。
「あと、名前ちゃんも。自分では作ってるって思ってるかもしんねーけど、それって周りが見えてるから出来るんじゃないの?元々優しくないと、人のために何かするって出来ないだろ。」
この人本当にすごいな。
欲しい言葉をきちんと紡いでくれる。
「ありがと、高尾くん。元気出た。」
にこっと笑うと、高尾くんもにかっと笑った。