第12章 Confidence*高尾*
学校の近くの韓国料理屋でご飯。
高尾くんはキムチが大好きみたいで、ここはオススメ!って言って連れてきてくれた。
「名前ちゃんさー、今日の昼なんかあった?」
ある程度食べて一息ついていると、彼はふいに問い掛けた。
「何にもないよ?」
小さな嘘を付く。
「はい、嘘ー。…バスケの話してた時、ちょっと顔が曇ってた。」
高尾くんは本当に周りをよく見ている。
ふとした表情の変化とかにもすぐ気付くし、友達と話してる時も状況をよく見ながら会話してる。
盛り上がっている時は明るく笑いを取りに行く。
何か決める時に煮詰まっていると絶妙なパスを出して、ベストな方向へ運んでいく。
悩みを聞く時も、適度に相槌を入れ、相手がなるほど!と納得出来るアドバイスをしている。
出る時と引く時のさじ加減がとても上手いと思う。
そもそも初めて話した時も、困っている私にすぐに気が付き声をかけてくれた。
自分で言うのも何だが、私はかなり自分の感情を隠すのには長けている。
だから、表情が曇ったのも一瞬だったはず。
彼の眼差しに全てを見透かされているようで、これ以上嘘は付けないなと観念した。
「高校の時の彼がバスケやってたんだ。」