イケメン王宮◆イケメンがみんな悪かったら【R18】
第8章 ワイン【大胆不敵謎の情報屋シド/R18】
『きゃ……』
思惑通り
シドの長い脚に
足先が引っかかり
グラスを持ったまま
サラは前のめりに倒れ込む。
[転ぶっ...]
瞳をぎゅっと閉じた瞬間。
「おっと」
シドの逞しい胸に
力強く抱き留められた。
『あっ......ありがと......』
酔っているせいか
サラはシドに脚を引っ掛けられた事に
気付いていないようだった。
起き上がろうとして
サラははっと気づく。
シドの濃紺のシャツに
赤いワインがかかって
しっとりと濡らしていることに。
『きゃっ、シド、服がっ…ご、ごめんなさ…』
サラは
慌てて謝るが…
「……冷てえ」
シドは眉を寄せ
腕の中のサラを
怪訝そうに見下ろした。
が…
(なんてな)
心の中で面白そうに笑みを深めていることなど
サラが知る由もなかった。