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【R18】【ハイキュー!!】 ドSな彼氏

第15章 番外編2 我儘な彼氏



結果的には、及川さんの判断は正しかった。

らっきょ頭……金田一君の親戚が経営する海の家は新装開店のパチンコ屋さんのような大盛況。

金田一君と彼のおじさんだけではとてもじゃないけど手がまわらないと、私も手伝うことになった。

海から上がってきた客が、濡れたまま、次々とやってきては注文し、食べて、会計して、また次の客がくる。

休む暇もない。

くるくる立ち回ってる間に昼が過ぎ、ようやく一息ついたときはとっくにお昼を過ぎていた。

「あの、よかったらこれ」

氷の入ったグラスを手渡された。

そういえば、ずっと飲まず食わずで手伝ってた。

「ありがとう」

一口飲むと、止まらず、一気に飲み干す。

「繁盛して、よかったね」

「あ、はい……すいませんでした、手伝ってもらっちゃって」

「いいよ、暇だったし。それより金田一君、バレーしなくてよかったの?」

背の高い彼は一年なのにレギュラーらしい。

「あ、俺はここ手伝うって約束になってて、今日は遊びじゃなくて仕事なんで」

「そうなんだ、えらいね」

彼、真面目でちょっと不器用そう。

「あの、泳がないんですか?」

「だよね」

「え……」

「普通、海来たら、泳ぐよね」

「はあ、まあ……」

らっきょ君はちょっと困ったような顔で、砂浜のほうを見た。

バレー部のメンバーはどこにいったのか。

はじめちゃんも、及川さんも、姿が見えない。

「よかったら、ちょっと海入ってきたらどうですか」

「……そうだね」

自分は海に入ってるのに。

私ばっかり……

ちょっと不満が頭をもたげる。

一緒に遊びたくて、来たのに。

及川さんと一緒だから、来たのに。

「らっきょ君、これ、預かっててもらえる?」

着てたTシャツを脱いで渡すけど、返事がない。

「……らっきょ君?」

顔を覗き込むと、

「あっ、は、はいっ!」

焦ったようにTシャツを奪い取る。

なんか、耳まで真っ赤……

「大丈夫? もしかして熱中症? 熱い?」

「ち、違いますっ」

「ならいいけど……じゃあちょっと泳いでくるね」


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