第11章 及川さんに愛されて……
LINEの画面。
はじめちゃんから……
『あいつのこと抱いた。おまえがいらないなら、俺がもらうから』
「これ……」
ぱっとタイムスタンプを見ると、あのコトがあって、私が家を飛び出した頃……
「結局岩ちゃんにしたんだ」
「ち、違いますっ……!」
「でも抱かれたんでしょ?」
「抱かれてなんて……」
ない、そう言おうとして言葉が止まる。
抱かれてない。なんでもない。
そう言っていいの、私……?
「それに君、昼間別の男と一緒にいたよね」
「別の男って……誰?」
「それ、俺の質問なんだけど」
昼間なんて誰にもあってない。
ここにお邪魔する予定だったから、お菓子を買いに行って……と記憶をたどってようやく思い出す。
「あ、彼は同じクラスの人で、偶然会って……それで、お茶飲んだだけで……」
「でもすごく仲良さそうだったけど」
「それは同じクラスで、割と仲いい友達だから……なんで、及川さん知ってるんですか……?」
「見た」
うそ……
「偶然、俺もあそこにいて、見た」
「なんで声かけてくれなかったんですか」
「さきにあっちが君に声かけたから」
ムスッとした声が、拗ねてるんだとわかる。
ぶすっとしてても整った顔見てたら、なんか腹が立った。
私の気持ち、まったく理解してない、この人。
私は一度も嘘ついたことなんてないのに。
私はこんなに……及川さんが好きなのに。
「あれは、本当に偶然あそこで会って……私、今日先輩に会うから何か持ってこようって、お菓子を買いに行ったら、偶然彼に会って……そしたら及川さんがドタキャンして……なんでだろうって、私……楽しみにしてたのに、会えるの……楽しみにしてて……」
私、言ってることがぐちゃぐちゃ。
でも、止まらない……言いたいこと、沢山ある。
「そうしたらはじめちゃんが来て、及川さんは私と別れたって言いふらしてるって……及川さん、私の事、飽きたならはっきりそう言ってくれればいいのに、どうしてこんな……そういうことは、ちゃんと言って欲しい、言ってくれれば、私嫌がったりしない、ちゃんとわかったって素直に納得し、……」
「ちょっと、なんでそうやって何でも俺の言うことに納得するわけ?」