第6章 嫉妬に愛撫されて……

「そういう問題じゃねぇよっ。男として浮ついてんだって、あのバカ！」

たしかに、はじめちゃんとは正反対だとは思う。

はじめちゃんは、小さい時から正義感が強くて、筋が通ってないと嫌いなタイプだった。

頼れる、近所のお兄ちゃんだった。

「でも、はじめちゃんと及川先輩、ずっと一緒なんだよね？」

「腐れ縁だ、腐れ縁」

イヤそうに言うけど、本当ははじめちゃん、及川先輩のこといつも気にかけてる。

親友として、ほっておけない。

仲がいいから、つい言いたくなるんだ。

及川先輩を悪く言われるのが我慢できないから……

「……大丈夫だよ、はじめちゃん、私、及川先輩のこと、好きだから」

「流されてるだけだろ、おまえ」

「違う、と思う」

「今まで知らなかったヤツにいきなり付き合おうなんて言われて？　んで付き合って？　ですぐ好きになるって？」

「時間は関係ないでしょ」

「おまえ、いきなりヤラれたから、錯覚してるだけだろっ！？」

「な……なに、それ……」

なに、言い出すの、はじめちゃん……

「ちょっと、そういうんじゃないから！　そういう言い方しないでっ」

自分でも珍しくムキになって否定する。

「ホントのことだろうが！　即効ヤラれて、それでつなぎとめられてるようにしか俺には見えねぇけど？」

「違う……違うから！」

「あんな体育館の倉庫でガンガンやられてたヤツの言うことなんて信用できないね」

「……っ！」

……見られてたんだ。

あのとき、はじめちゃんに……

「あ、あれ、は……」

「あれは、なんだよ。大体、おまえ、そんなヤツじゃなかっただろうがっ」

そんなヤツって……？

「及川ン家に泊まって、学校でヤッて、おまえっ……」

「痛っ……」

はじめちゃんにすごい力で両肩を掴まれる。

「は、じめちゃん……？」

なんか、怖い。

はじめちゃん、なんだか怖い……

「俺は……、つかお前、俺がこれまでどれだけ……っ」

「痛い、ちょっと離して、はじめちゃん……」

ますますはじめちゃんの手の力が強くなる。

はじめちゃんの吐息が……近い。

「は……はじ、め…ちゃ……」

「俺は、ほんとはおまえのこと……」

「ちょっとぉ、岩ちゃん、俺の彼女苛めないでくれる？」