第5章 はじめちゃんの前で犯されて……

シャワーの中で放置されてから数日。

あれ以来、一度も及川さんには会ってない。

及川さんからのメールもLINEもない。

ホント、なんなんだろう、この関係。

もやもやしながら、借りた本を返すために学校の図書館に向かった。

夏休みも開館していて、結構勉強しに来てる生徒もいる。

新たに何冊か借りて帰ろうと体育館の横を歩いていると、なんとなく聞いた声が聴こえてくる。

あ、バレー部ここでやってるんだ……

開けはなられた出入口からちょっと覗いてみる。

ちょうど休憩中らしい。

座り込んだり、まだコートで練習してたりと、バラバラだ。

あ、はじめちゃんだ……

汗だくの顔をタオルで拭きながら、誰かと喋ってる。

『岩泉先輩ってかっこいいよね』

そういうクラスの子も結構いたけど、たしかに。

小さい頃から頼もしかったけど、最近男っぽくてかっこよくなった……

「こんなところで何してるの？」

後ろから急に肩を叩かれる。

「えっ……あ、及川さん」

「なになに、俺を見に来てくれたの？」

「え……いえ、……偶然ちょっと……」

「だめだよ、そこは会いに来たって言ってくれなくちゃ」

「はぁ……」

「てか、今岩ちゃんのこと見てなかった？」

「今休憩ですか？」

「ちょっとなにはぐらかしてんの」

拗ねた顔もカッコいい。

「なんか面白くないね。自分の彼女が他の男見てるなんて」

「べ、別に見てません！」

ヘンに誤解されるのは嫌だ。

ちょっと強く否定すると、

「そうやって否定するとこが怪しいよ」

不機嫌そうにつぶやくと、いきなり手を引っ張られる。