第8章 鬼家
子が産まれたときき、庵戯は雪渼たちが住んでいる人里離れた山にわざわざ足を運んだ
そして雪渼に抱かれた日紫鬼と縁側で微笑ましく見つめる也有鬼を見つけた
庵「…」
也「…っ!父上」
雪「!!」
也有鬼は最初は殺しに来たと思い、雪渼を庇うように前に立った
也「……」
庵「………それは?」
庵戯は抱かれた赤子を指差した。雪渼と也有鬼の鼓動が速くなる
庵「…………」
也「……この子は…」
雪「私と也有鬼様の子です。名前を日紫鬼と名付けました」
庵「…日紫鬼」
日紫鬼「あぁーぅ?キャハッ!!」
庵「………ワシに抱かせてくれ」
也「!!」
雪「…はい」
優しく、ゆっくり雪渼から受け取ると庵戯はただジッと見つめるだけだった。まだ理解もできない日紫鬼は庵戯を見てはキャハハと笑った
庵戯の鎖骨まで伸びた白い髭を小さな手で引っ張ったり、口に入れようとしたりした
庵「……フッ、フハハ…髭を食うつもりか?いかんぞぉ?日紫鬼は小さいのに力が強いのォ〜」
也「……父上」
雪「…ふふ…お父上様、どうぞ…中へ。お茶をお出しします」