第8章 鬼家
日紫鬼「へー、認めたんだ。爺さん」
妖艶『まあな……この時はまだ平和だった』
日紫鬼「えっ?」
妖艶『…お前が生まれてから1ヶ月後。酒呑童子の次男、斑咫鬼(ムラタキ)と三男の叉焚鬼(マタタキ)を先祖に持つ二つの分家がとある妖怪の襲撃にあったのだ』
ーーーーー轟々と燃え盛る炎。
その光景はまさに地獄…まだ逃げ遅れた者の悲鳴や断末魔が聞こえ、中には炎に身を包まれながら
外に出てきた者がこちらを見つめて『助けて』と一言言い残し、灰になってしまったものもいた
庵「き、貴様か!何故こんなことを!玉藻前」
玉「ンッフフフフ…」
【玉藻前(タマモノマエ):平安時代後期に鳥羽上皇が院政を行った時代に活躍したといわれ、若い女性でありながら大変な博識と美貌の持ち主であり、天下一の美女とも、国一番の賢女とも謳われた。
また、「化生の前」とも云われ、その正体は白面金毛九尾の狐ではなく、二尾の妖狐であったとも云われている。 しかし、正体がばれると討伐軍に敗れ、殺生石と化した】
玉「我は玉藻前!世を統べるものよ……生意気な口をきくでない、鬼風情が」
庵「貴様は悪欲が過ぎ、狐家から縁を切られた…その復讐でもするつもりか?」