第2章 マネージャー?
清水先輩と別れた後も、私は暫く廊下に突っ立ったままでいた。
何これデジャヴ。
確か菅原先輩にフられた後も、こんな風に地縛霊みたいに動けずにいた。
でも今は、あのときとはまったく違う動揺で動けずにいる。
「どうしよう・・・」
正直、誘われてちょっとだけ嬉しかった。
期待してしまった。
もしかしたらまだチャンスがあるんじゃないか?
また菅原先輩のあの笑顔が見られるんじゃないか?
同時に、そんな自分がとてつもなく嫌になったのだ。
清水先輩は私の恋愛成就のためにマネージャーに誘ってくれたんじゃない。
全国の舞台を目指して、烏野を強くするためだ。
それなのに私は、自分のことばっかりで、下心でいっぱいで。
こんな私に、マネージャーになる資格なんてないと思った。
「・・・やめよう」
それが1番傷つかずに済む。
菅原先輩に迷惑掛けずに済む。
なのに。
こんなにも胸が痛いのは、何故だろう。