第1章 告白
「ごめん」
そう言って頭を下げる先輩を、私は呆然と眺めていた。
まるで他人事のように、客観的な目線で。
そうでもしないと泣き出してしまいそうだったから。
「・・・いえ、こちらこそ、お時間を取らせてしまって・・・ごめんなさい」
「いいよそんなの。でも今は部活が1番大事だから・・・本当にごめんな」
「いえ・・・!謝らないでください!私も知ってて告白したので!本当に・・・すみません」
「苗字さん・・・」
「あ、あの!もう部活始まっちゃいますよね?私のことはいいので、大丈夫です!行ってください」
「・・・うん、じゃあ、行くよ?」
「はい。・・・聞いてくれて、ありがとうございました」
私は最後まで精一杯笑顔でいるように努めた。
菅原先輩が階段を下りて体育館に向かうのを見送って、ようやく見えなくなってから、―――声を上げて泣いた。
フられた。フられた。・・・フられた。
嗚咽が響く。
目からどんどん溢れ出して、袖でいくら拭っても止まらない。
鼻水まで垂れてきて、もう私の顔はぐしゃぐしゃだった。
ただただ苦しくて、想いをぶちまけたところで解放されることはないのだと知る。
告白すればすっきりすると思ったのに。
ううん、今日寝れば明日には――――。
ダメだ。
無理だった。
3年間も片思いしてた人にフられて明日からははい元通りーなんて、本当にその人が好きなら無理な話だ。
私は暫くこのことを引きずってしまうだろう。
それくらいには傷ついていたし、それ以上にまだ菅原先輩が好きだったから。
私はこの恋を諦められるだろうか。
小1時間程、私はこの場から動けなかった。