第2章 雨とネコとキミ
おじさんは2人が到着すると、すぐに子猫を診てくれた。
待っている人が5人いる。
それぞれに犬や猫を連れている。
でも、先に診てくれた。
捨て猫で弱っていると思ったからだ。
「まだ小さいな」
いろいろ診た後で、おじさんは子猫に水を飲ませながら説明してくれる。
「ワクチンはもう少し後だな」
「病気とか、ありますか?」
「まだわからないけど、見た目には元気そうだ」
「よかった……」
「子猫特有の風邪をちょっと引いてるぐらいだな」
「それってどうすれば……」
「そういうのは蛍が良く知ってるよ」
いきなり話を振られて、眉をしかめる。
「僕は関係ないから」
「よく拾って育ててじゃないか」
「それは兄さんだし」
動物は……懐かれるのが苦手だ。
おじさんは処置を終えると、
「で、どうするんだ、この子」
「僕に訊かないでくれる?」
彼女を見ると、
「あの、うち、飼えないんです……アパートで」
「じゃあ、蛍が引き取ってやればいいんじゃないか?」
「はぁ……?」
呆れて言葉が続かない。