第5章 初めてのデート
彼女の俯く顔を両手で包む。
跪くと、彼女の視線と同じ高さで、その小さい唇にキスする。
ちゅっ。
「……っん」
薄い唇の間から舌を入れて、逃げる彼女の舌を掴まえる。
無意識に逃げる彼女の頭を両手で挟み込む。
唇を貪りながら、小さい身体を芝生の上に押し倒す。
「……け、けいくん、や……こんなとこで……」
「黙って」
彼女を組み敷くと、もう一度、その小さな唇を塞ぐ。
激しく舌を吸って絡めると、彼女の口から小さく熱い吐息と一緒に、2人の混ざり合った唾液がすーっと落ちていく。
その唾液のを辿るように、彼女の首筋を啄むと、ヒクンっと彼女の身体が震えた。
愛しい。
好き。
不器用な彼女への気持ちが抑えられない。
自分の下で身体を火照らせ始めた彼女をぎゅっと抱きしめる。
「はなさん、好きだよ」
自他ともに認めるひねくれ屋。
そんな自分がこんなに素直になってることが、自分でも信じられない。
でも、言いたかった。
この人には、自分の本音を教えたかった。
「はなさんは?」
「……蛍くん……」
「名前じゃなくて」
「……好き」
「じゃあ、つきあっても問題ないね」
「ぇ……」
「なに、その「え」って。ヤなわけ?」
「ち、ちが……う、けど……」
「けど、なに? はなさんは僕の彼女になりたくないワケ?」
沈黙。
「そこで返答に困る意味がわからないんだけど」
「……ごめんなさい」
彼女の腕がぎゅっと自分を抱きしめる。
ごめんなさい。
そんな意味を込めたように。
「大丈夫、付き合っても僕、浮気しないから」
「……わかってる…蛍くん、いい人だもん」
「なら付き合っても何の問題もないデショ」
「……だね」
小さく笑った彼女の顔を見下ろすと、なんでか目尻が濡れていた。
「若いし、背高いし、お買い得だと思うけど、僕」
「ごめんね、年取ってて」
「そんなこと、言ってないデショ」
可愛く尖らせたピンクの唇にもう一度キスを落とす。
深くならないうちに唇を外すと、
「やだ……もっと、シテ……」
ねだるように言われて、ドクンと下半身に熱が集まる。
「煽るようなこと、言っていいの? 本気にするよ」
「……いい、お願い……」
こんな外で。
誰が通るかもわからないのに。
でも、そんなこと、もうどうでもよかった。