第2章 雨とネコとキミ
「ごめんなさい」
突然、謝られる。
「謝られるようなこと、なにもないけど」
「なんか、迷惑かけたから」
子猫を月島の手から取りあげようとする。
ミイィィィィ
月島の方がいいらしい。
子猫は指にしがみつく。
「なんか好かれてるね」
「嬉しくないケド」
子猫を渡すと、彼女は大事そうに受け取って、また箱に入れた。
「で、どうするの?」
「……わかんないけど……」
言いながら、彼女は箱を持ち上げる。
そして傘を自分ではなく箱の上にさすと、歩き出した。
「とりあえず病院は行った方がいいと思うけど」
「……病院?」
振り返った顔が、月島を見上げている。
「捨て猫拾ったら病院行くのが普通だと思うけど」
「拾うの初めてで……」
「病気とか栄養状態とか、誰か里親探すにしても、最低限確認しなきゃいけないことってあるんじゃない」
珍しくおせっかいなコト言ってる自分にイラっとする。
でもなぜか……
ほって帰ることができなかった。
この猫も。
そして、この彼女も。