第4章 どうしてか、愛しすぎて……
「月島、なんかヘン……」
日向に言われて、はぁ?と顔をしかめる。
部活の休憩時間中、日向が自分の顔を見て、「やっぱヘン」と言った。
「失礼だな」
「だってなんか、いつもの意地悪さがない」
「なにそれ……」
「こうイヤラシフェイントもいまいち冴えてない、みたいな」
「うるさいな……」
自分でも理由はわからない。
いや、たぶん、わかってる。
彼女だ。
あれから、彼女は2回家に来た。
帰りも駅まで送った。
でも、どこか溝ができたのは確かだった。
彼女は、当たり障りのない会話で、やり過ごそうとしてる。
自分も、それに合わせる。
知らないのは、母親だけだ。
部活を終えて家に帰ると、母親はいなかった。
テーブルの上に、メモがあった。
おばあちゃんの具合が悪いみたいなので、1泊で行ってきます。
ご飯はレンジでチンしてください。
母方の祖母は東京住まいだ。
行くとなれば最低でも1泊2日は必要だ。
ということは、今日は一人だ。
父親は長期海外出張で先月からずっといない。
先にシャワーを浴びて部屋着に着替えて頭を拭いていたら、玄関のチャイムがなった。
嫌な予感を抱えながら出ると、彼女が大きいな袋を抱えて立っていた。