第5章 05-裏
マルコは小さく息を吐き続けた。なぜこんな目に合っているのかが分からず、必死に今日起こった事を思い出す。
今朝マルコは普通に起き、いつも通りの生活をした。昼からはマルコとの誕生会をサッチと行う。そこまではよかった。そこまでは。
夜になり、酔い潰れたサッチはそこら辺で雑魚寝を始じめ、マルコとは2人並んで(が山からとって来た果実で作った)飲み物を飲む。
「あのね、マルコ」
「なんだよい?」
腕に擦り寄ってくるを、マルコは見た。
場の雰囲気に寄っているのか、眠たいのか、目がトロンと蕩けている。
可愛いない。マルコは小さく笑むと、の頭を撫でた。
「あのね。誕生日って、贈り物する日なんだよね?」
「あぁ、そうだね」
「マルコもくれたよね」
懐の中から、赤いトンボ玉の付いた簪を取り出す。これはマルコがサッチに頼んで買って来てもらい、にあげた物だ。
は自分が貰っておきながら、マルコになにもあげていない事を悔やんでいるのだろうか?そう言うことは気にしなくていいのに。そうマルコが思った瞬間。
突然唇を奪われ、マルコは言葉を失った。
鋭い無理矢理歯の間を割って入って来、舌に舌を絡めて来る。その間にばふん!布団に押し倒された。
「……?」
「サッチにね、教えてもらった。あげる物がないなら、自分をあげろって。だから、」
私のこと、もらって。
再度唇を塞がれる。舌を絡め合う音を聞きながら、マルコが思い出したのは先日サッチに言われた「最期くらいいい夢見たってバチは当らねぇ」と言う言葉だった。
(確かに、当たらねェかもねぃ)
どうせ死ぬんだ。当たったって、怖くない。
マルコはそう自分に言い聞かせると、今度は自分からに唇を押し当てた。