• テキストサイズ

笑顔のバッドエンド

第4章 04


「告白された」
 それは天気のいい昼下がり。庭の木々が黄色に染まり、少しヒヤリと冷えた空気が漂う日の事だった。
 突然のマルコの言葉に、サッチは「は?」と聞き返した。マルコは顔色1つ変えず庭を眺めながら、「だから告白されたんだよい」と呟く。
「誰に?」
「に」
 2人揃って、縁側を見る。天気がいいから縁側で、猫のように丸まりながら、が寝息を立てていた。
 サッチは籠の中に洗濯物を放り入れると、の隣に座った。庭を見れば、雀が数羽何もない地面を突ついている。
 うん、なんだ。サッチは切り出す。
「どうすんだ?」
「分からねぇ」
「だよなァ」
 相手は人間ではないし、告白されたマルコの先も、もうない。それでもに「ごめん」と返事を返さなかったのは、一途に想われて、好きだと言われたことが、とても嬉しかったからだ。
 まったく、いつからこんなに弱くなったんだ。今までにない乙女思考に、マルコは思わず自嘲気味に笑った。
「もう付き合っちまえよ」
「あぁ?」
 眉間に皺を寄せながら、マルコはサッチを見た。
 相変わらず庭に目を向けたまま、サッチは続ける。
 くよくよ考えたって仕方ねェ。告白したってことは、そんだけマルコが好きだってことだ。その気持ちをお前は無下にするのか?
「それに最期くらいいい夢見たって、バチは当らねぇってんだよ」
「最後の一言で全てぶち壊しだよい」
 ククッと喉を鳴らしながら、マルコは呟く。それに釣られるようにサッチも笑う。と、パチリ。の瞳が開かれた。
/ 12ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp