第3章 03
サッチは(誕生日の準備やらで)今朝の内に帰ってしまい、マルコは珍しく1人の時間を過ごす。が、暇を持て余していた。
町中なら出掛けたり出来るが、生憎ここは人里離れた山中で、人が訪ねて来る(は来る時間帯がバラバラで、いつ来るか分からない)予定もない。家の周りを散策するも、身体を起こす事事態が苦痛でしかなく、マルコは詰まらなそうに庭を眺めた。
誰もいない庭を見ながら、マルコは昨日の事を思い出してた。
(サッチがいたからか)普段なら家に上がり昼寝をするは、まるで逃げるように去って行った。その時一瞬見えた表情が悲し気に見えたのは、気のせいだろうか?
(確かあの時、此処にいたのは……)
マルコとサッチ、医者であるジョズ。そしてサッチとジョズは……。
そこまで考えていると、ガサリ。茂みが鳴って、マルコは現実へと引き戻される。
激しい音を出して揺れる茂みを、マルコは警戒する事なく見詰める。その姿はまるで「誰が来るのか分かっている」ようにな風貌だ。
数秒後。茂みから飛び出すように出て来たのは、だった。いつものように果実を抱えているに、マルコは「やっぱり」と言った風に彼女の名を呼ぶ。#は腰まである髪と尾を揺らしながら、縁側へと近付いた。
「、昨日ぶりだねぃ」
「うん」
縁側に木の実などを置きながら、は返事を返した。
いつもなら此処で室内に上がって来る。しかし今日は、ピクリとも動かない。