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笑顔のバッドエンド

第2章 02


 音を立てて、は木の上から飛び降りた。その手には沢山の木の実が抱えられている。
 ここはの秘密基地みたいな場所だ。生まれた時からずっとあって、沢山の美味しい物が常に実っている。獣道で入り組んでいるから人はあまり来ないが、ある日1人の男がやって来て突然は襲われた。
 行き成りのことで意味が分からず、は逃げ惑う。怪我をしても必死に逃げて、行き着いた場所に彼ーーーマルコはいた。
 先程襲って来た奴と同じ生き物。それでも不思議とは怖くなかった。
「怪我、したのかい?」
 少しだけ控えめに聞いて来て、マルコは手招きをした。
 は静かにそっと、近付く。マルコはその行動が嬉しかったのかへにゃり、と笑って「手当してやるよい」との手を取った。
 は手当されるとそそくさと逃げてしまったけれど、マルコが嫌いと言う訳ではない。何故だか分からないがどちらかと言うと好きで、だから毎日飽きもせず木の実を取っては彼に届けに行く。助けてもらったお礼として。
 今日も木の実両手にマルコの家に行くと、知らない男が2人いた。咄嗟に木の影に隠れて、は様子を窺う。耳を澄ますと、2人の会話がよく聞こえた。
「もって、今月いっぱいだな」
「……そうか。悪いな、ジョズ。来てもらって」
「いや、気にするな。じゃあな」
「あぁ」
 会話を終えて男ーーーサッチは家の中へと入って行った。
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