第2章 Act.2
紫原の何気ない一言に話しに入って来た青峰や緑間も、目を見開いて驚いていた。
お菓子ぐらいしか興味のない紫原に、「可愛い」等の発言をさせてしまう悠鬼を青峰と緑間は、じっとガン見する。
それを許す紫原ではないので、悠鬼の顔を見せない様に腕の中にぎゅっと抱き締める。
『む、むーちゃっ』
「やっぱお前等、付き合ってんじゃねぇか」
「だから付き合ってないって」
皆しつこいので紫原は青峰にハッキリそういうが、紫原は少し落ち着かないものの不服そうにしながら渋々練習に戻って行く。
付き合って居なくても悠ちんの彼氏じゃなくても、他の男が悠ちんに触るのは腹が立った。
まるで玩具を取られた子供の様に、俺は眉を顰めて拗ねて居た。
体育館の中でランニング中、紫原は灰崎の傍に近付いて声を掛ける。
「崎ちん、悠ちんに近付かないでくれる?」
「あ"ァ?彼氏でもねぇお前にんな事言う資格ねぇだろ」
「そうだけど~」
「お前達が一人に執着しているのは意外なのだよ」
「そうそう、灰崎は別に女に飢えてねぇだろ?紫原だって菓子以外の事に興味なさそうなのによ」
「そんなに魅力があるのか?」
「お前等の目は節穴かよ?……彼奴は絶対ぇ良い女になるぜ、まぁ一度ヤったら直ぐ捨てるけどな」
「俺、悠ちんとそういう事したいって思わないけど……悠ちんを泣かせるのは絶対許さねーし」
「へぇ~……敦にそんな顔をさせる女がいるとはな。益々欲しくなるなァ」
「泣かせる事は許さない」と言った時の紫原は、試合の時の様に……否、試合の時以上にオーラを灰崎に漂わせていた。
本当に捻り潰されそうな勢いで、灰崎の背筋をゾクゾクさせるものの恐れるどころか、興奮させる物になった。
(流石、俺が目を付けた女だ。彼奴を俺の女にする……必ずなァ)
『本当にハードだねぇ、男子バスケ部の練習メニュー……むーちゃんの汗止まらないもん』
「うぅ……疲れた~」
抱き付いてはダメだと教えた悠鬼だが、休憩が入り近付いて来た紫原の頭にタオルを掛けてやると、優しく顔の汗を拭いてやる。
されるがままに前屈みになっている紫原は、そ~っと悠鬼の背中に腕を回すがペチっと引っ張ったかれて阻止されてしまう。