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紫の花菖蒲

第1章 Act.1



「辞めた理由も聞いている、桃井のサポートとして無理しない程度に頼みたい?」

『は、はい!やりたいです!……マネージャーでも何でもバスケを続けられるならっ!』

赤司の誘いに悠鬼は迷いなく喜んで受ける事にした。
その話しは離れていた紫原達にも聞こえて居り、紫原は二人に近付いて後ろからぎゅっと悠鬼に抱き付く。


「悠ちん、マネージャーになるの~?」

『うん!やるよ!……ただし、むーちゃん。部活中に私に抱き付くの禁止!』

「えぇ~」

悠鬼は紫原を自分から引き離すと、人差し指を立てて注意して来る。
口先を尖らせて拗ねる相手だが、悠鬼の満面の笑顔を見たらやっぱり抱き締めたくなった様で、紫原は周りを気にせずその小さな躰を腕の中に隠した。

悠ちんの可愛い笑顔を、他の奴に見せたくなくて……








『あ、新作のポテチ!……これも買お~!』

「俺も明日のお菓子買お~」

部活が終わった後、紫原と悠鬼は一緒に帰る事にし、途中にあるコンビニに寄り道をする。
二人でお菓子売場に直行し、明日食べるお菓子をカゴの中にどんどん入れて行く。

「悠ちん、良かったねぇ?」

『え?』

「ずっとニコニコしてるから……そんなに嬉しい?マネージャーになれたの」

『うん!私、バスケ大好きだもん!……自分で出来なくなっちゃったのは残念だけど、私は人のプレイ見るのも大好きだし!』

「……分かんない、そういうの……好きとか面白いでやってないし」

『またそういう事言う~……ふふ、バスケしてる時のむーちゃん、格好良かったよ?』

「本当~?一番?」

『さぁ?どうかなぁ……青峰くんや緑間くんも強かったし』

「……っ……」

悠鬼にそう言われて紫原は不服そうに口を尖らせると、彼女の顔を胸板に押し付けて少し強く抱き締める。
苦しそうに紫原の腕の中でもがく悠鬼に、とことん意地悪をしてやった。

暫くして背中をペシペシ叩かれ、紫原が離した時悠鬼は真っ赤な顔をして、自分の胸を押さえながら息を整える。
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