第3章 新入部員
《渚side》
ドタドタドタ............
「そこの君!」
「え?」
「一緒に水泳部で全国大会目指さない!?今入部すると、イワトビちゃんストラップをプレゼントするよ!」
「はぁ?いらねぇよ!てか、水泳とか興味ねーし」
............うーん
とりあえず声をかける事から始めてみたけど
全然ダメだなぁー
このままじゃ、水泳部が廃部になっちゃう!
うぅー... またハルちゃんたちと4人でリレーを泳ぎたいのに......
「ん?」
ふと外を見ると、グラウンドでは陸上部が棒高跳びの練習をしていたのが目にはいった。
「おぉーー!今の人のフォームすっごいキレー!!」
渚はその中の1人のフォームを見て、目を輝かせた。
「水泳のフォームもキレーなのかなぁ!」
とりあえず、もっと近くに行ってみよう!
そう思い、渚はグラウンドへ走った。
「あ、さっきの人だ!」
渚が外へ行くと、ちょうど陸上部は休憩をとっていた
「ねぇ君!」
このチャンスを逃すまいと、渚はさきほどの男子生徒に声をかけた
「...どちら様ですか」
男子生徒は怪訝そうな顔をして、かけていた赤い眼鏡を押し上げた
「はじめまして!僕、1年5組の葉月渚!きみは?」
「1年3組 竜ヶ崎怜です。僕になにか」
「君を水泳部にスカウトに来ました!!」
ニコニコとそう告げた渚に、怜は眉間にしわを寄せた
「は?」
「いやー、さっきの走り高跳びのフォーム見て是非とも水泳部に入って欲しいなーと思って!」
「生憎、僕は陸上部に所属してますので。それに人間が水の中で泳ぐなんて.........美しくない......!!」
「え?美しくない?」
「そうです。なので、僕は水泳部には入る気はありません。失礼します」
行っちゃった......
水泳が美しくない?
うーん、ハルちゃんの泳いでる姿はすっごくキレイだと思うけどなぁー
次の日も、その次の日も、渚は怜のもとへ来ていた。
「怜ちゃん!1回でいいから、水泳部に見学に来てよー!」
「あぁ!もうなんなんですか、毎日毎日!いい加減にしてください!僕は美しくないものに興味はないんです!」
「お願いぃ!1回見に来てくれたらもう怜ちゃんのとこには行かないからぁー!」