第1章 出会い
『ここか』
ガラッ
5組の教室に入るとすでに来ていた他のクラスメイトの視線が私にあつまる。
その視線を無視して、黒板に張り出されていた座席表を見る。
お、ラッキー
窓側の一番後ろか。
存分に寝れるじゃん
ひとりで喜びながら、自分の席につくと隣の席に座っていた女の子がニコニコしながら話しかけてきた。
「はじめまして!私、松岡江!よろしくねー!あなたは?」
『井上彩乃。よろしく』
元気でかわいい子だなー
頭撫でたいかんじ
「彩って呼んでもいい?」
『うん、もちろん』
「私のことは江って呼んでね!」
『うん、これからよろしくね江』
そう微笑むと江は驚いたように目を見開いた。
『江?』
「彩ってもともとすごい綺麗だけど、笑うと可愛いかんじなんだねー!」
『はいはい、ありがと』
可愛い子に可愛いと言われてもなー
「あー!御世辞だと思ってるでしょ!私、
本気で言ってるんだからね!」
『アリガトー』
「棒読みだよ!」
「おーいお前ら静かにしろー!!HR始めんぞー!!」
江とくだらない話をしていたら、時間が過ぎるのはあっという間で、いつの間にか担任が来ていたようだ。
騒がしかった教室は静かになり、皆担任の方を向いた。
「えー、このクラスの担任の唐澤浩介だ。お前ら面倒なこと起こすなよ?めんどくせーから」
うわー.........
なにこいつ
恐らくクラス全員がそう思っただろう。
なんてやる気のない先生なんだろうか
このクラス、不安。
「そんじゃー、廊下側から自己紹介ー」
唐澤に言われ廊下側の人から、自己紹介を始める。
私は自己紹介終え、席について、
他の人の自己紹介をぼんやり外を眺めながらきいていた。
「じゃ、次は葉月ー」
「葉月渚です!水泳部に入ろうと思ってます!皆よろしくねー!」
あれ、この声...
どこかで聞いたような気が.........
「あ!さっきの!」
顔をあげると、金髪の男の子がいた。
『あ、どうも』
「同じクラスだったんだねー!これからよろしくね!」
『うん、こちらこそよろしく』
「おーい、そこ二人の世界にはいってんじゃねぇぞコラ」
葉月くんの声が大きくて、いつの間にか皆に注目されていた。
「ごめーん、浩ちゃん」