第1章 出会い
《彩乃side》
4月、桜の花びらが散る中――
『ここが、岩鳶高校か...』
私は岩鳶高校の校門前に来ていた。
本当は他の高校に行くはずだったのだが、
親の急な転勤でこの岩鳶高校を受験することにした。
だからちゃんと学校を見たのは今日が初である。(受験のときはそれどころじゃなかった)
『よし、まずはクラスの確認だな』
校門から少し歩くと、人だかりを見つけた。
あそこかな?クラス発表
『えーと、5組か』
まぁ、引っ越して来たから知り合いもいないしどの組でも関係ないけど
「ねぇ、君!」
.....................誰
「可愛いね!よかったらサッカー部のマネやらない?君みたいな可愛い子にはいってもらえたら俺ちょー頑張れるんだけど!」
「いや、野球部においでよ!」
「陸上部の方がいいって!」
勧誘か.........
こういうの苦手なんだよなー
てか、うるさいし暑苦しいわ
『いや、興味ないんで』
「そんなこと言わずにさ!見学だけでもいいから!ね??」
先輩は私の腕を掴んで離さない。
うざ......
『ちょっと離してください。』
いい加減腕が痛いんだけども
「あー!こんなとこにいたー!」
え?だれ?
「もー、なにやってんの?遅刻しちゃうよー?早く行こっ!」
『え、あ、うん』
どこからともなく現れた綺麗な金髪の男の子は私の腕を掴んで走り出した。
てか、はやっ!!
『つ、疲れた.........』
「あ、ごめん!速すぎたよね!」
金髪の男の子は申し訳なさそうな顔で謝る。
.............かわいいな
『あ、さっきはありがと。助かった』
ふわりと笑ってお礼を言えば彼は目を見張った。
......どうしたんだ
なんか顔赤いし
「あ、いや、どーいたしまして!」
『大丈夫?顔赤いよ?』
「え!?あ、うん、大丈夫大丈夫!」
『そう?ならいいけど』
あ、そろそろ教室いかないとだな
初日から遅刻はまずいしね
『じゃあ、そろそろ私行くね』
「また絡まれないように、気をつけてねー!」
金髪の男の子と別れて私は教室に向かった。
あ、名前聞くの忘れたな
まぁ、いいか
同じ一年みたいだったし、どっかでまた会うでしょ