第5章 モデルさんと海常高校
涼太の弱点が……分かった…………!?
思わず体が一歩前に出る。
「自分から言い出しづらかったのもちょっと分かるわ。見ればできる、……見えなかったら?そもそも元から薄いのが前提じゃ、やれってほうが無理な話だろ」
見えなかったら……?
……それってつまり…………!!
「黒子くん……?」
ぽつりと呟くと、リコ先輩がこちらを見て首をかしげていた。
「いくら身体能力が優れてるお前でも、影を極限まで薄めるバスケスタイルだけはできない。……つまり!コイツだろ。お前の弱点!」
してやったりという表情で、いつぞやのように黒子くんの頭をがしっと掴んだ火神。
戸惑ったような表情の涼太を見て、火神は不敵に笑う。
その火神の手中で、なにすんですか、と、迷惑そうな黒子くん。
せっかく火神がかっこついた場面のはずなのに、
誠凛のでこぼこコンビは相変わらずだ。
「火神でも歯がたたない黄瀬の弱点が……」
「パス回し以外コート上で最弱の……黒子くん……?」
日向先輩の言葉に続けるようにリコ先輩が声を漏らした。
たしかに、黒子くんはパス回し以外だと
他の1年生よりもレベルが低いかもしれない。
“僕は影だ”
いつだったかの黒子くんのセリフを思い出す。
火神は光、黒子くんは影。
……二人が力を合わせれば…………?
“誠凛の 光 と 影”
シャーペンをくるっと回してからノートに走り書きをした。
「……で?確かに黒子っちのプレイだけは見ても無理っス。けど、それでなにが変わるって言うんスか。」
余裕そうに言い放つ涼太。
火神は相変わらずニヤニヤと何かを企んでいる表情だった。
ピーーッ
「第1クォーター終了。休憩二分です」