第7章 VS お父さん
そして始まった試合。
ジャンプボールをとったのはお父さんで、新協が先制点。さっそく彼の高さをみせつけられた。
続いて誠凛ボール。フリーでうった日向先輩のスリーはお父さんにあっけなく止められ、彼の守備範囲の広さもとんでもないのだと改めて思い知る。
「デタラメだろあんなの……」
「やっぱずりぃよ……外国人選手なんて」
「でもまぁ、2人まではベンチ入り可能だからね……」
恨めしそうに言った降旗くんと河原くんに苦笑しながら返す。
それに……誠凛はそんなもんじゃ負けない。
これまでの練習を思い出して、シャーペンを握る力を強めた。
「……んん?お父さん、シュートの精度落ちてきた?」
福田くんが呟くように言うと、リコ先輩が小さく笑った。
「そう簡単には入らないわよ。なんたって、火神くんがお父さんに自分のプレイをさせてないからね」
「自分のプレイを……?」
「届かなくてもやり方はある。水戸部くん直伝のね」
聞き返した福田くんにリコ先輩がそう答えるのを、コートを見ながら聞いていた。
お父さんとそのマークにつく火神が、練習のときの火神と水戸部先輩にかぶって見える。
「……でも火神、ストレスたまってそうですね。この試合中に2mを止めちゃったりして」
「あぁ……火神くんならやりかねないわね。いや、やってくれちゃうでしょ!」
冗談混じりにリコ先輩に言えば、不敵な笑みでそう返された。