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平凡な私と目立ちすぎる仲間たち【黒子のバスケ】

第5章 モデルさんと海常高校


第1クォーターも残り半分。


どうにか涼太を止めようとするけれど、
海常は涼太だけじゃない。

涼太からボールが渡り、笠松先輩のスリーが綺麗に決まった。


大きくなる海常の応援の声。



「あ……っ!」


火神から黒子くんへのパスがカットされて、
小さく声が漏れた。

やっぱり……効果は薄くなってきてるんだ…………。



第1クォーターが残り2分半をきったところで、点差は8点。

じわじわと開いていく点差に焦りが募る。




火神のダンクが涼太に止められ、誠凛ボール。

着地した彼らはなにかを話しているようだったけど、
ここからじゃよく聞こえない。

涼太を止めるための策はないかと、
たいして知識も入っていない脳みそで考える。




「くくっ……ははははっ……」


突然聞こえた火神の異様な笑い声に、手元から視線を上げた。


「ははっ…………わりぃわりぃ。ちょっと嬉しくってさ」

「嬉しい……?」


眉を顰め尋ねる涼太。


「そういうこと言ってくれる奴、久しぶりだったから。
向こうじゃそれが普通だったんだけどな」

「向こう?」

「アメリカ」

「えっ?アメリカいたの!?すげー!」


勝手に盛り上がっている二人をどうしたものかと困ったように見る審判の人が視界に入り、頑張れ、と心の中でエールを送っておく。


「こっち帰ってきてバスケから離れたのは早とちりだったわ。はりがでるぜマジで。やっぱ人生、挑戦してなんぼじゃん?強ぇ奴がいねぇと生きがいになんねぇだろ。…勝てねぇぐらいがちょうどいい」


その言葉に、涼太が目を見開いた。

同時に私の心臓が煩くなる。


シャーペンをぐっと握り直し、ノートの片隅に“勝てないぐらいがちょうどいい” と、走り書きをしておいた。


「まだまだこれからだろ。聞いてもいない御託並べんのは早いんじゃねぇの?……おかげで分かったしな、お前の弱点。」

「弱点?」


再びノートから視線を上げると、不敵に笑う火神の姿。
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