第5章 モデルさんと海常高校
ひとりひとりにドリンクを配っていくと、お礼を言ってくれるその表情は、まだ5分とは思えないほど疲れが現れていた。
なにか私にできることはないかときょろきょろしていると、武内監督の怒鳴る声が聞こえて肩が跳ねる。
ちらりとそちらを見れば、かなり怖い顔の監督さん。
格下だと思っていた相手にこれだけ点を取られたことがかなり気に食わないんだろう。
「とにかく、まずは黄瀬くんね……」
リコ先輩の声にはっとして視線をもどす。
マグネットを動かしながら話す先輩の言葉を
一言一句聞き逃さないように集中し直した。
「火神でも抑えられないなんて……もう一人つけるか?」
日向先輩が眉を寄せて言う。
たしかに、それくらいしないと涼太を抑えるのは……。
「なっ……ちょっとまってくれ!……ださい」
「ださい?」
それに過剰に反応した火神。
おかげで日本語がおかしくなってリコ先輩が首を傾げている。
「いえ、活路はあります」
ここまで黙っていた黒子くんが口を開き、
全員の視線が集まった。
「彼には弱点があります」
「弱点……?」
「なんだよ、そんなのあるならもっとはやく……」
意味深な黒子くんの発言に、
リコ先輩と日向先輩が催促するように言った。
「いえ、正直、弱点と言えるほどじゃないんですけど……。それよりもすいません。……もう一つ問題が…………。予想外のハイペースで、もう効力を失い始めてるんです」
目を見開く誠凛メンバー。