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平凡な私と目立ちすぎる仲間たち【黒子のバスケ】

第5章 モデルさんと海常高校


「ここっスよ〜」


黄瀬くんに案内されてついた広い体育館。


「え……」


一歩足を踏み入れた瞬間、私を含め全員が声を漏らした。


どうして……片面なの……?


緑のネットで仕切られた体育館。

もう片側では海常の生徒が練習をしているらしい。


「片面……で……やるの……?」


リコ先輩が呟きながら体育館内を見回している。


「あぁ来たか。よろしく、監督の武内です」


そう言って私たちに声をかけたのは、
少し……いやかなり……ぽっちゃりした体型の方だった。


「ん?……ところで、そちらの監督は?」

「あ、私です」

「は!?君が!?マネージャーじゃなかったのか!」


驚いた様子でリコ先輩を指差した武内監督。


マネージャーはわたしです!!

……って言いたいけれど、たぶん火神が前にいるから
見えてない気がする……。


「監督の相田リコです。今日はよろしくお願いしまーすっ!」

「あ……あぁ……」


リコ先輩の清々しい(多分嫌味もこもってる)挨拶に
武内監督は戸惑った様子で頭をかいた。


「で……あの……これは……」


練習に使われている片面のコートを見ながら
私たちが一番聞きたかったことを尋ねるリコ先輩。


「見たまんまだよ。今日の試合、
ウチは軽い調整のつもりだが……」

「調整……」


リコ先輩がピクリと肩を揺らした。


「出ない部員に見学させるには、学ぶものが無さすぎてね」

「はぁ……」


リコ先輩のスクールバッグを持つ手に
徐々に力が入っていくのが後ろからでも分かる。


「無駄をなくすため、ほかの部員たちには普段通り練習してもらっているよ。だが、調整と言ってもウチのレギュラーのだ。トリプルスコアになどならないよう、頼むよ」


そう言い残して海常バスケ部のメンバーの方へ
歩いていった武内監督。

なにあの態度。さすがにイラっとくるな……。


視線を武内監督からリコ先輩に移すと
拳をぎりぎりと握り締め、笑い出している。


やばいやばいリコ先輩超キレてる!!!


「なめやがって……つまりは練習の片手間に相手してやるってことかよ……」


そう言った火神をちらりと見上げると、もともと悪かった目つきが5割増でひどくなっていた。



私もできることを頑張らなきゃ!

そう思って、背筋をきゅっと伸ばした。
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