第5章 モデルさんと海常高校
練習試合の応援についての打ち合わせを終えた後、
1年生3人と私は一緒に帰ることになった。
河原くんの話に相槌をうちながら3人を見上げる。
となりを歩く福田くんは、さりげなく車道側を歩いてくれているし、前を歩く降旗くんと河原くんも、たまに振り返って歩調を合わせてくれている。
そんな気遣いが嬉しくて、あったかい気持ちになった。
「いーよなー土田先輩!彼女さん迎えに来てるとか
愛されすぎだろー……」
ちょうど信号で立ち止まったところで降旗くんが呟いた。
それを河原くんが慰めて、福田くんが困ったように笑って……。
なんだか、こういう男子独特の雰囲気、いいなって思った。
少し長めの信号が青に変わり、再び歩き出す。
「そういえばさ、新沢さんのクラスに
モデルのMASAMI✩がいるってマジ?」
振り返った河原くんに尋ねられ、そうだよ、と頷いた。
「うわー!超羨ましい!」
目を輝かす河原くん。
真実のファンなのかな?
「モデルと言えば!黄瀬のやつすごかったよな!!」
「火神の技を一回見ただけで同じ……いや、それ以上のプレーをするとか、キセキの世代ってすごすぎるだろ……」
いつの間にか立ち直っていた降旗くんの言葉に
福田くんも続けた。
……敵を褒めちゃうのもどうかと思うけど………。
あのときの黄瀬くんのダンク、…あれはやっぱり火神の……。
負けたくないな…………。
「海常との練習試合……勝ちたいね…………」
三人の足が急に止まり、自分が呟いていたことに気がつく。
「勝ちたいじゃなくて、勝ちに行く、だろ?……なんてね!」
まず口を開いたのは降旗くんだった。
「先輩とか火神なら絶対そう言うよな!」
振り返った河原くんが続けた。
「そのためにそれぞれ自分ができることをしてる。
新沢さんだって、そうだろ?」
となりを見上げると、真っ直ぐこちらを見ている福田くん。
試合が始まる前と同じように、
心臓が大きくどきん、ってなった。
小さく息を吸い込む。
「絶対勝とうね!!」
「「「おう!」」」
3人が笑顔で答えてくれて、自然と笑顔がこぼれた。
…………練習試合、私もできることを全力でやろう!